私はこれまでにも村上春樹の小説を数十冊読んだことがあるのだけれど、たまにドクターペッパーが飲みたくなるような感じで、久しぶりに彼の文体に触れたくなった。
本の感想を誰かに伝えることがことごとく苦手な私だが、日記程度に今日読んだ本について簡単に書こうと思う。
今日は村上春樹著のアフターダークという本を読んだ。300ページほどで比較的軽めな小説だ。
主なあらすじ
突然これから長い間眠りにつくと言ったきり全然起きなくなってしまった姉に対して、妹であるマリは酷く傷ついてしまう。マリは姉との関係が、疎遠になっていることに対し孤独を感じていた。小さい頃から美人の姉と比較されて育ったマリは自分に対して劣等感を感じていた。
自分の劣等感や孤独と向き合ううちに姉もまた負の感情に打ちひしがれているのではないかと思った。姉が深い眠りについた原因。マリの知らないところで姉はどんな苦しみを感じていたのか。マリはもう一度姉と深い関係を築きたがっていた。そしてそのために何ができるのかを考えていた。
この物語は姉のエリと妹のマリが寄り添って眠るところで終わってしまう。姉はこの本が終わるまでに目を覚ますことは無かった。深いところで繋がっていたいという人間の欲望とその難しさを見事に表現していたと思う。
マリは色々な人と出会い、表面的ではなく深いところで変化を遂げていた。メタ視点で描かれているのでマリの変化を客観的にみることができる。
読了後、謎のまま終わってしまったことが多く、モヤモヤした気持ちになった。結局あの人は主人公とどのように関わっていたのかさえもわからないところがあった。私たちが出会った人がその後どうなったかを知ることが無いみたいに、この小説でもその後どうなったのかが描かれていないことが多かった。それが帰ってこの小説の現実味を引き出しているように感じた。
村上春樹っぽさを存分に感じられる作品であった。みんなも時間があったら読んでみてね。