昔飼っていた猫が何処かからスズメを咥えて家に帰ってきたことがあった。そのスズメは羽を怪我しているようでとても痛々しい見た目をしていた。部屋の中で聞き慣れないスズメの叫び声が響いていることに気づいた私はすぐにスズメを保護した。どんどん弱っていくスズメ。
私はどうすることも出来なかった。程なくしてそれは動かなくなってしまった。
さっきまで動いていたものが動かなくなる場面を私はただ見つめていた。
猫は自分のおもちゃが無くなってしまったことが気に食わなかったのか、丸まって寝てしまった。その姿はとても自分勝手に見えた。
たくさんの猫がいるように、たくさんのスズメがいる。彼らは寒いこの季節にどの様に生活しているのだろう。
朝起きると彼らの声が心地よく聞こえてくる。体の中にも響き渡るその透き通った声がいつも私の朝を1段階グレードアップしてくれる。
小さい体で綺麗に生きるその姿は別の生き物だがとても尊敬できる。いつかスズメの様な存在になりたいと私は思った。