小さな体から発せられるその猫撫で声に惹かれて、家に来た猫に餌をあげていた。
かれこれ4、5年経つのかな。
初めの頃は、3メートル離れたところから、「お腹すいたよー」と鳴いていた。
出会って2年目くらいになると距離はあるのだけれど1メートルくらい近づいても逃げなくなった。
コンクリートの道にゴロンと寝転ぶ白黒の猫。
いつかは私が触れても逃げないくらいになるのかと思っていた。
けれど
1メートルの距離感になってからはその距離感はずっと続いた。
まだまだ人が怖いみたい。
いつからか餌をくれと鳴くことがなくなった。
ただ座ってじっとしているだけ。
「ほら私が来たよ、餌の準備でしょ」といっている様な感じがした。
こんなに可愛い猫なのできっと他の家でも餌をもらっているのだろう。
だから餌への渇望も薄れたのだと思う。
人の前に座っていると餌をもらえるのだなと学んだのかな。
猫は自分の可愛さを武器に逞しく生きているのだ。
さすが八方美獣。
夏の暑さの中でも逞しく生きるその猫を見てなんだかホッとした。