たまたま列の一番前を歩いていたアリは、自分が沢山の子分を携える王様になった気分でいた。
たまたま列の真ん中にいたアリは、自分には沢山の友達がいると感じていた。
たまたま列の最後尾にいたアリは、自分の前を進む沢山のアリを見て、こんなに沢山のアリがいるなら自分は働かなくていいやと考え、そそくさと来た道を帰って行った。
偶然歩いていた場所で気分はこんなにも違ってくる。
帰り道
王様の気分でいたアリは、今度は真ん中を歩くことになり、自分は王様ではなかったのだとがっかりした。
沢山の仲間がいると思っていたアリは、今度は最後尾を歩くことになり、本当の自分は友達が多いのではなく、沢山のアリにくっついて必死になって追いかけているだけと感じ孤独になった。
途中で帰ったアリは、家でゴロゴロして余暇を楽しんでいたが、だんだん働いている仲間たちに申し訳ないという気分になった。
ちょっと時間が立つだけで、こんなにも気分は変わるもの。