天気が良い日に洗濯物を干していると、ズボンのポケットに何かが入っていることに気がついた。
「ああー、またやってしまった。
今度は何を出し忘れたのだろう。」
中から取り出してみると、丸まった紙が出てきた。
「レシートには見えないし何の紙だろう」
それがなんの紙で、大切なものなのかどうかもわからなかった。
仮に大切なものだったとしても、何かわからないので、その時は不安にならなくて済んだ。
数日前私はある人と水族館に行っていた。
久しぶりの水族館。平日のためか人もまばらでまったりできた。
いろんな魚がいるなーと感心してみていたが最後の方は、みんな魚というひとくくり目線でぼーっとみていた。
「あんなに個性の違う魚たちを一つの水槽に入れても大丈夫なんて、何だか奇妙だね」
ゆっくり泳ぐ魚も早く泳ぐ魚もいるのがどこか人間社会みたいだった。
飽きたのか「そろそろ帰らない」と言われた私は、時間も時間なので帰ることにした。
帰り際にその人から何かをもらい、中はまだみないでと言われた。それをポケットにしまう。
別の日
夏の暑さに嫌気がさしてきた頃、涼しい本屋に行って立ち読みでもしよと思い、
近所の三省堂書店に向かった。
相変わらず涼しい店内のある一角で、新潮文庫の100冊というブースがあった。
出版社に特に思い入れやこだわりがあるわけではなかったが、ざっと見てみると、懐かしい本がずらりと並んでいた。
自分が読んだことがある作品が何冊か置いてあり嬉しくなった。
紹介されている本をまとめた、無料の小冊子が置いてあったので1つもらった。
2時間くらいうろちょろし、脚が疲れてきたのでそろそろ家に帰ることにする。
その日は特に何かを買うわけでもなく、もらった小冊子をポケットに入れて帰った。
色々思い出していたところ他にも4回、ポケットに紙類を入れたことがあった。
思い出せば思い出すほど、ポケットから出てきたものが何なのかわからなくなっていく。
どうしようもないから、忘れようとした時、丸まった紙を広げてもう一度よくみると、まだ読める字が僅かに見えた。
そこにはこんなことが書かれていた。
:〜〜
:〜〜
:〜〜
:そうめん
出てきたのはただの買い物リスト。
はぁー○| ̄|_
がっくし
ただ謎が解けて少しスッキリした。
大した謎でもなかったけれど。
はあ〜
そうめん食べたい。