「これ何ていう種類ですかね?」
何の面識もない人にそう聞かれた。
「何ですかね、蛇には詳しくなくて。」
私はそう言いながら、蛇にしかできないあのニョロニョロとした動きをジーッと観察していた。
パッと答えられたらカッコよかっただろうな…
子連れのお母さんは、私の何を見て、蛇に詳しそうと思ったのだろうか。
いや、ただ自分の中に生じた疑問をどうにかしたかっただけだろう。
「足元悪いんで気をつけてくださいね」
そう気を遣われながら、私は軽くお辞儀をし、川辺を離れた。
世界最小の蛇は10センチ。そんなことをどこかで聞いたことがあった。
ミミズのような蛇。
きっとさっき見た蛇よりも見つけるのは難しいのだろう。
そんなことを考えながら歩いていると、
まさに10センチくらいのニョロニョロしたものが目下で動いていた。
え、
あ、なんだミミズか…
そんなに簡単に見つかってしまったら、わざわざ10センチでいる必要もないか。
カラスがどこかで鳴いて、日が暮れようとしていた。